第31屆中日工程技術研討會 能源政策產業人文組「從人文關懷看能源永續」
第31屆中日工程技術研討會 能源政策產業人文組「從人文關懷看能源永續」 活動花絮
日期:2015.12.02 | 單位:臺灣大學日本研究中心
 



     

        

     


  


第31屆中日工程技術研討會 能源政策產業人文組「從人文關懷看能源永續」
日期:2015.12.02 | 單位:臺灣大學日本研究中心
第31屆中日工程技術研討會 能源政策產業人文組「從人文關懷看能源永續」
【開幕式】

主持人:徐興慶(臺灣大學日本研究中心主任)
致 詞:黃茂雄(中華民國工商協進會榮譽理事長,東元集團會長)
    陳弱水(臺灣大學文學院院長)

 
【專題演講(一)】

引言人:吳玉珍(經濟部技監)
主講人:豐田正和(日本能源經濟研究所理事長)
講 題:原子力発電:持続的発展に不可欠なエネルギー
摘 要:

 安全保障の視点(Energy Security)、コストの視点(Economic Efficiency)、温暖化の視点(Environment)に安全性の視点(Safety)を加えた「3E+S」の視点から見ると、完璧なエネルギーはないと言える。太陽光発電はコストが高く、風力や地熱等の再生可能エネルギーには立地の制約があり、火力発電は二酸化炭素排出量が多いうえにコストも高い。原子力発電はCO2排出量が少なく、安定供給も可能でコストも良いが、安全性に問題がある。日本が「原子力ゼロ」政策を実施した場合、10年間で24兆円の財政支出が予想される。また電気代は値上がりし、CO2排出量も増加するであろう。しかし、原子力発電を続けていくなら、安全性の問題に配慮しなければならない。日本政府が福島の原発事故以前に唱えていた原子力の「安全神話」は、事故後すぐに崩壊し、世論の原子力への忌避は一層強まった。豊田先生は、原子力の技術や制度はすでに整っているが、ポイントは、事業者による自主的安全努力と、国民の原子力リスクへの「許容レベル」の低減という、2つの“文化”の立ち上げだと考えている。「3E+S」に「M」(マクロ経済効果)を加え、電力供給や経済・環境への影響も考慮に入れながら、エネルギーミックス政策を制定していくことが求められる。
 
【專題演講(二)】

引言人:潘欽(中華民國核能學會理事長)
主講人:梁啟源(中華經濟研究院董事長)
講 題:我國能源政策與經濟發展
摘 要:

 台湾の温室効果ガス排出量は、CO2削減政策の厳格な実行や産業構造の調整、グリーンエネルギー、CO2削減の先進技術応用への考慮といった状況下で、2030年「國家自定預期貢獻(INDC)」の削減目標をBAU排出量の50%とし、2.18億トンと2000年の排出量を下回ることを目標としている。台湾のエネルギー構造の特色は、エネルギー輸入依存度と集中度は高いが使用効率が低く、かつ高炭素エネルギー(石炭、原油)の比重が低炭素エネルギー(天然ガス、原子力、水力)よりも高いことにある。それゆえCO2排出量をいかにしてコントロールするかという点が大きな課題となっている。低炭素エネルギーである再生エネルギーを発展させるとしても、台湾は地理的条件による多くの制約があり、また再生エネルギーは安定供給が出来ないという欠点もある。今後の再生エネルギーの発展における重点は、地面型太陽光発電だが、それに伴う土地利用に関する問題も解決していかなければならない。
 このような条件の下で、台湾がすぐに核廃した場合、電気料金の値上がり、電力不足、CO2削減に関する国際公約への違反等の影響がある。福島の原発事故を受けて、台湾政府は2011年11月3日に新たなエネルギー政策を発表した。これには原子力を減らすこと、グリーンエネルギー、CO2削減の実現、核の安全の確保という3つの柱を含んでおり、2025年には「非核家園(非核国家)」の目標に達する見込みである。
 
【專題演講(三)】

引言人:謝牧謙(中華民國核能學會顧問)
主講人:山地憲治(地球環境產業技術研究機構研究所長)
講 題:日本のエネルギー政策と温暖化対策目標
摘 要:

 日本のエネルギーミックスは、自給率向上、コスト削減、欧米に遜色ない削減目標の3つを目標としている。経済成長に伴いエネルギー効率は改善傾向にあり、エネルギー効率の向上によって、2030年の電力需要は2013年の水準にまで抑えることができるだろう。この政策に合わせて、日本では電気料金に再生可能エネルギー発電促進賦課金を加え、国民から再生エネルギー発展のための基金を集めている。再生エネルギーを長期安定的なエネルギー源とするため、エネルギーミックスや効率性の向上という観点から、再生可能エネルギー導入の仕組みを構築する。安全供給の確保や、電気料金の最大限の抑制、発電事業者の事業機会の拡大を目指し、電力システムの改革は3段階に分けて実行される予定である。一連の制度改革の成果を活かし、効率的な形での電力の取引・流通の実現を通して、再生可能エネルギーの導入拡大に結びつけていくことが重要である。エネルギー政策には「公益」と「市場」という2つの観点があり、山地氏はこの2つが協調することでより優れた政策が生まれると考えている。
 
【專題演講(四)】

引言人:辻本雅史(臺灣大學日本研究中心執行委員)
主講人:大川真(NPO法人古川學人吉野作造紀念館館長)
講 題:問われる日本のエネルギー政策と民主主義 ―被災地の声から―
摘 要:

 福島の原発事故発生に伴い、1都11県で計16万トンもの放射性物質汚染廃棄物が発生した。2012年3月、環境省が今後の指定廃棄物の処理方針を発表し、汚染廃棄物の最終処分場が問題の焦点となった。宮城県の最終処分場の候補地に選ばれた加美町は、現地の農産物や醸造酒が風評被害を受け売れなくなってしまうのではという懸念から、町長を中心とした住民の反対運動が起こった。加美町はこの事故の責任は国家と東京電力にあり、処分場は東電の敷地内で一元管理されるべきだと主張した。これに対して宮城県知事は住民反対運動を批判するばかりか、法廷闘争も辞さない構えを見せた。2015年10月の議員選挙では、加美町長が支持した候補者が、知事支持派の候補者にダブルスコアに近い大差で当選した。大川氏は、高放射線廃棄物の処理には長期的な話し合いが必要で、処分場の設置場所については民意を考慮しなければないと考えている。宗教と農村意識の影響で、日本人は水質や土地(が穢れていないか)へのこだわりが非常に強く、これもまた日本人が原子力に不安を感じる原因の一つと言える。いかにして国民の原子力への否定的な感情を、客観的な評価に変えていくのかが、エネルギー政策の制定に際して考慮検討していくべき方向である。
 
【專題演講(五)】

引言人:林立萍(臺灣大學日本研究中心副主任)
主講人:森田明彥(尚絅學院大學教授)
講 題:子どもにどんな地球を残しますか
摘 要:

 原子力発電は経済発展に莫大な利益をもたらすが、その分リスクも伴うものであり、「現在世代」の原子力発電の受益が、「将来世代」に核廃棄物という危険を負担させてしまうという特徴がある。将来世代はいま原子力発電を使用するか否かを決めることはできないが、この負担だけは負うのである。森田教授は「将来世代の権利」を肯定し、すべての人に同等の尊重と配慮を得る権利があるため、原子力発電のリスクについて考える際には、将来世代への責任や義務も考慮する必要があるとしている。
 福島の原発事故発生の原因は一般的に、「安全神話」とされている。つまり「安全神話」を過信したために、過酷事故管理と緊急時対応の体制整備を怠ってきたということである。森田氏は、日本人の所属集団の利益を優先する「分前的平等主義」の道徳観が「安全神話」からの脱却を阻んできたとし、自律的個人の道徳的源泉としての儒教的伝統から原子力のリスクを考えたいと述べている。現在エネルギー政策の制定には、「大衆迎合主義」と「テクノクラート」という2つの問題がある。むやみに民意に媚び諂っても問題を解決できないが、専門家だけでエネルギー政策を決めても、国民の原子力への不信や不安を拭い去ることはできない。両者間における「開かれた公共的対話」が必要不可欠なのである。
 
【綜合討論(一):從人文觀點看國家能源政策】

主持人:徐興慶(臺灣大學日本研究中心主任)
與談人:豐田正和(日本能源經濟研究所理事長)
    山地憲治(地球環境產業技術研究機構研究所長)
    大川真(NPO法人古川學人吉野作造紀念館館長)
    森田明彥(尚絅學院大學教授)
    吳玉珍(經濟部技監)
    黃仁安(世聯倉運股份公司董事長)
摘 要:

 序言で徐氏は、人文学の角度から議題について一言述べ、また人類学研究の角度から自然との共存の問題を提示した。豊田氏は、反核とCO2削減という二つの難題から原子力発電を考える際には、国際基準からエネルギー問題について考慮する必要があること、また日本の「安全神話」に関しては日本政府が国民を説得するために作り上げたものであり、事実上「絶対安全」というものは存在しないと述べた。山地氏は、あらゆるエネルギーにはリスクが伴うことを国民に理解してもらい、最低限のリスクを受けることに関して納得できるよう説明しなければならないと述べた。大川氏は、さまざまな異なる意見から、どこに分岐点が現れているのか探り、国民皆が政策を受け入れることにより制定することができると述べた。森田氏は、被災者の心情と境遇について説明し、東京電力は賠償したがいまだ謝罪はなく、自主的に災害救助の民間団体を結成し海外から認められたが、政府からは圧力を受けている。呉氏は、「エネルギー貧困」とは、個人あるいは家庭がエネルギー料金を負担できないことについて取り上げた。現在、台湾電力の予備電力の容量は約3%のみで、将来恐らく節電が実行され、それは経済発展に影響を及ぼすであろうと考えられる。台湾の地震強度と海抜高度ともに弱く、福島原発事故後、核電統制の標準をアメリカ水準にまで引き上げ、安全性懸念を低下させた。黄氏は、エネルギーについて取り上げる際、地元住民の気持ちがしばしばないがしろにされてきたと述べ、命や人権及び環境を尊重し、永続的な角度からエネルギー問題について考えていくべきだと主張した。併せて、電力会社の自由化が必須であるとし、市場競争を開放し、市民に選ばせる機会があるべきと述べた。
 
【綜合討論(二):能源安全及環境政策】

主持人:葉宗洸(清華大學工程與系統科學系教授兼系主任)
與談人:豐田正和(日本能源經濟研究所理事長)
    山地憲治(地球環境產業技術研究機構研究所長)
    大川真(NPO法人古川學人吉野作造紀念館館長)
    森田明彥(尚絅學院大學教授)
    葛復光(核能研究所能源經濟策略中心副主任)
    廖惠珠(淡江大學經濟系教授)
摘 要:

 総合討論(二)は、清華大学の葉氏が司会を務めた。冒頭で、現在の総統選候補者はいずれも「非核家園(非核国家)」策推進派であるため不安であると述べた。台湾で再生可能エネルギーを発展させるためには、いくつかの制限が課せられており、また再生可能エネルギーの供給は安定していないため、基載電力とはならない。台湾中部では化石燃料を燃やすことを禁じており、それが中部の火力発電所に直接影響している。台湾人は経済発展を望みつつも、一方では核廃絶を望んで、化石燃料を燃やすことを禁じており、それは矛盾しているだろう。豊田氏は葉氏に賛同し、三年前に民主党が核廃絶に関して反対したことについて語った。山地氏は、日本の原子力発電を導入した当初、かつては英米の圧力という影響を受けたのでは、と述べたが、合理性という角度が考えてみると、原子力導入はまったく英米の影響を受けていない。大川氏は、市民に対するエネルギー知識に関しての教育が必要であると考えている。森田氏は、人間は情をもつ存在だから、ただ合理性という考えだけで問題を解決するのは困難だと述べた。葛氏は、エネルギー問題と人文は、実はジレンマ的な問題である。IAEAエネルギー指標(energy dilemma)にはエネルギー安全(エネルギー自給率)、公平なエネルギー、環境の永続性(電力のCO2排出)の3つの項目があり、130カ国のエネルギー指標について調査を行った。台湾は30位で、かつて日本は13位であったが、福島の原発事故後32位に後退した。台湾は、原油価格、電気料金ともに低価格であり、エネルギーの公平さに関しては上位であるといえるが、これもエネルギーの安全と環境が永続的な影響を受けたからであると考えられる。エネルギー指標は市民の価値観を判断するものとして取り入れられている。廖氏は、原油や石炭の価格問題と電力不足についての問題について取り上げ、現在の台湾での核廃絶は非常に困難であるとの見方を示した。原油価格の低下は一時的なものであり、もし原子力発電を廃止するなら、国際原油価格が上昇した際に、電気代はその影響を受け、経済発展にも影響を与えかねない。現在台湾では原子力発電が16%、石炭火力発電47%、天然ガス29%であるが、もし原子力発電所四号機の稼働を中止すると、これ以上火力発電所を増やすことはできず、天然ガスに頼ろうとしても、それだけでは需要は満たせない。
 
【問題與討論】

一、提問

  
 (1)日本は来年電力自由化を促進するとされている。日本の電力会社十社はすべて民営企業であるが、福島原発事故に関してはいまだ未解決であるため、自由化はいかなる目的を達成したいと思っているのか。
 (2)政府は原子力発電4号機の再稼動は国民によって決定されたものであるが、エネルギー問題に関してはいくつか国民が理解していない部分がある。政府は国民と対話すべきであり、国民の考えていることを理解すべきである。日本はそのような経験があったかを知りたい。
 (3)核廃絶にあたり国民は節電することによって貢献できるが、また台湾の作業系関係の技術は信頼に値し任せることができるが、どのように廃炉処理していくかというのは大きな難題である。もし廃炉作業が行われるとするなら期間を定めるべきであるが、政府はその期間を利用してどのようにエネルギー政策に関する構想を遂行していくのか。

二、綜合回答

 日本の電力自由化は、豊田氏は完全自由化は反対という見方をしている。原子力発電は政府の管理が必要であり、災害発生時にはさらに政府の介入が不可欠である。福島の原発事故後、安全文化(セーフティーカルチャー)こそが重要である。この点については、政府も国民も同時に反省しなければならないこともあるとの認識を示した。しかし、技術に頼るだけでは安全は保障されず、技術、制度、安全文化こそが非常に重要である。国民の安全文化以外では、技術者の安全教育も向上していかなければならないであろう。2050年のエネルギー政策導入に向けて、日本では現在省エネが推し進められている。それには、再生可能エネルギーと原子力を併用し燃料などを保管する技術といったものがある。山地氏は、電力自由化を推進した際に、電力の安定供給は一つの大きな課題となると話した。最近の報告でも、2030年に使用される電力量は省エネにより全体の35%削減すると見込まれている。経済が持続して成長していく中で、使用電力量が増大することを加えないということを、日本政府は一つの課題としている。その他、廃炉処理問題は技術の問題と比較して、社会問題のようになり深刻である。日本では、核廃絶に関する主張は穏健であり、それに占める割合も高いが、逆に原発を即時になくそうと主張する人は少数である。
 最後に、政府はいかなる時も国民と対話すべきであるとし、それに関連して大川氏は国民投票こそが適切な解決方法であり、国民を通して将来のエネルギー政策を決定すべきだと話した。それは、日本はこのような大きな事故を起こしてしまい、原発の安全問題について軽視してしまったからである。森田氏は日本は当初、米国の圧力を受けて原子力発電を取り入れたが、そのことが安全に関する問題の選択性をなくしてしまったとし、結果的に人々は政府の安全神話を受け入れることを強いられたのである。これにより現在、原発について政府は国民の信頼を失った原因の一つとなっていると述べた。
 
【閉幕式】

 致 詞:謝牧謙(中華民國核能學會顧問)