主編的話


(一)主旨および内容の特色

 「日本学研究叢書」(全20巻)は、台湾における日本語による初めての学術叢書であり、台湾での日本研究の特色を出見すものである。本叢書は、台湾の日本研究の重要な成果や若手研究者の博士論文を書き下ろしも含めて、厳選して収めており、とくに台湾からの視野を重視する方針で編集されている。台湾と日本の相互の理解を促進し、その実践に向けた国際日本学研究の深化をめざして刊行したものである。

 このシリーズで扱う分野は、(1)日本中世および、近現代の文学やことば・物語、さらに現代日本語造語の諸相、近世・近代の中国・日本・朝鮮における朱子学・陽明学など諸学派の多様な展開の比較研究などである。(2)「台湾における植民地教育制度の形成」、「台湾法における日本的要素」や「日本統治期台湾における訳者及び「翻訳」活動」。(3)「東アジア情勢の転換とアベノミクスの影響」など「台湾から東アジアを考える」という視野に立ち、歴史の変遷を踏まえながら、現在東アジア社会が直面する諸問題を一種の「アポリア」とみなし、激動する東アジア世界の葛藤をみすえ、学術研究の観点から様々な角度から論じている。

 ここに二十巻の形で提示した熱い議論と論説は、台湾、日本はもとより、東アジア諸国にも広がっている。また多様な方向性をもつ諸論考は、人文学と社会科学の対話全般に関心が高まるよう工夫されている。そこから、一つの地域研究として、国際日本学研究に向けた新しい視点が見出されるはずである。


(二)今後の発展

 今、東アジア社会において、グロバール化が急速に進展しつつある中、「日本にとっての台湾、台湾にとっての日本」とは何か、この問題意識を以って、台湾における日本学研究の国際化を図り、あわせて若手研究者の育成を期して、次の三十巻の叢書刊行に向けて、さらに努めていきたい。