第5屆全國研究生研習營 
第5屆全國研究生研習營  活動花絮
日期:2018.3.3 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
        

        

        

        

     

        

        
【開幕式】
日期:2018.3.3 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
 日本研究センターは2018年3月3日、台湾大学文学院会議室にて「第五回大学院生ワークショップ」を開催した。本ワークショップは日本への理解と若手日本研究者の育成を目的としており、人文学や社会科学の各分野で活躍されている4名の先生方をお招きし、日本研究を志す学生との交流の機会を提供した。五回目の今年もご先達がそれぞれの領域で多方向に知識伝達して下さった。日本台湾交流協会新聞文化部松原一樹部長は、開会式において「人文系の研究と社会科学の研究は車の両輪だと思い、この2つの分野をバランスよく推進していくことによって、日本という多面的に研究できると考えられる。本日はこの重要なテーマの元は有意義な議論が行われることを期待しております」と挨拶があった。閉会式では日本研究センター林立萍主任より、「学生のみなさんには、今日のワークショップで多方向全領域の知識を得て、これからの研究に活かせることで、今後の日本地域研究がさらに発展していくことと台日関係の促進になれば」と挨拶があった。
【文化領域】
日期:2018.3.3 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
主講人:高木博志(日本京都大學人文科學研究所教授兼所長)
講 題:近代における日本美術史の成立


 1889年には東京・京都・奈良に三帝国博物館の設置が決まり、帝国博物館はヨーロッパの博物館を参照しつつ組織を整えていった。1887年に東京美術学校が設立され、まだ20代の岡倉天心が初代校長となった。「美術」の制度化は、フェノロサの欧米からの美術理論の移入にはじまり、帝国博物館初代総長の九鬼隆一や岡倉天心が中心となって、21万点にのぼる文化財について臨時全国宝物調査(1888年~1897年)を行うことで、ジャンル・等級・年代・作者など今日の「美術史」の基本的な枠組みが確立した。
 岡倉天心は、東京美術学校でおこなった「日本美術史」の講義の中で、今日でいうところの飛鳥文化―白鳳文化―天平文化―弘仁・貞観文化―国風文化―鎌倉時代といった時代区分を提唱した(1891年度、『岡倉天心全集』4 )。古都奈良に関わっては、法隆寺釈迦三尊像に代表され中国六朝文化の影響をうけた飛鳥文化、法隆寺金堂壁画にインド・ギリシャ風美術をみる白鳳文化、国際色豊かな盛唐文化の影響をうけた東大寺戒壇院(かいだんいん)四天王像や正倉院のガラス工芸などを標準作とする天平文化といった、歴史認識を示した。古都京都の平安時代は、平安遷都(794年)後の密教の弘仁・貞観文化、後半は「純然たる日本風」で優美な貴族文化が栄え、絵師金岡(かなおか)、仏師定朝(じょうちょう)といった芸術家を輩出した国風文化にわけられる。この10世紀以降の国風文化が、ナショナル・アイデンティティとなり、かつ京都イメージとなってゆく。そして日清戦争後のナショナリズムの勃興期の1897年に、最初の文化財保護法である古社寺保存法が制定され、国宝(National treasure)概念がはじめて成立した。
 このように古代から近代までの時代区分は、歴史学に先んじて、美術史においてまず成立した。それは、国際社会の外交や博覧会において、視覚に訴える美術の影響力が強かったためである。実際、「日本美術史」がはじめて活字の書物となるのが、パリ万国博覧会に向けて編纂されたHistoire de L'art du Japon,1900であった。日本語ではなくフランス語の自画像であった。
 授業では、ヨーロッパ各国の文化はギリシャ文明から派生したとする19世紀の世界史認識が、奈良をギリシャに重ねる言説を生み出したことや、近代日本における中国文明観にも言及する。すなわち近代日本における「古代」の意味を考えたい。

【語學領域】
日期:2018.3.3 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
主講人:秋元美晴(惠泉女學園大學名譽教授)
講 題:形容詞の機能-連用形の副詞的用法の観点から-


 形容詞の機能としては、主として、装定用法(名詞を修飾・限定する用法)と述定用法(述語として働く用法)があることは周知のことであり、研究(仁田(1998)、秋元(2015)など)も多いが、もう一つの用法である主に動詞述語を修飾限定する用法の研究は多いとは言えない。
 本発表の目的は、現代日本語書き言葉均衡コーパスの「新聞」のコアデータを用い、連用形で使われる頻度の高い形容詞「大きい」「強い」「高い」「厳しい」「深い」などをコロケーションの観点から、その意味・機能を考察することである。
 なお、コロケーション (collocation)にはさまざまな定義があるが、ここでは、Crystal (2008: 86) の“the habitual co-occurrence of individual lexical items”(個々の語彙項目の習慣的な共起関係)を採用する。     
 上述した形容詞連用形の副詞的用法とは、主に動詞述語を修飾する用法であるが、この機能は副詞の主たる働きである。つまり、形容詞のこの用法は副詞のそれと重なることになる(cf. 日本語文法事典(2014:186))。次の「大きく」の例を見てみよう。

 (1) キャラクターや設定はもはや大きく変わりようがない。
 (2) 選挙結果は、各自治体のあり方にも大きく影響しそうだ。
 (3) ・・・再び原子力への信頼が大きく揺らいだことは間違いない。

 「大きく」は「大きい」の連用形の副詞的用法であるが、本来の形容詞の意味「容積・体積などが大である」ことに加えて、多分に強調の意味が含まれている。興味深いことは、「大きく」は形容詞の意味を持ちながら、強調の意味を同時に持っているということである。そしてこれらのコロケーションはこの形容詞の意味を背後に持ちながら、強調用法も発達させたということである。従って、「大きく」は無差別的でなく、形容詞「大きい」の意味を反映した動詞と共起すると考えられる。しかしながら、この強調用法はさらに進むと、抽象化し、形容詞の意味をそれほど反映せず、その結果、強調用法のみが一人歩きすると、コロケーションの範囲は広がることになる。なぜなら、抽象化することにより、文字通りの意味が失われ、文法的機能が強まることになるからである。
 なお、次例のように、形容詞本来の用法はあまり使われず、その連用形の副詞的用法の方が多いものもある。

 (4) ・・・弁当を持参する子もおり、9日後、やむなく全面中止を決めた。 

 本発表では、名大会話コーパスも分析し、書き言葉と話し言葉との間に見られる連用形の副詞的用法として用いられる形容詞の違いをも考察する。

【經營領域】
日期:2018.3.3 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
主講人:黃輝慶(逢甲大學通識教育中心副教授)
講 題:漫話今天的日本・明天的臺灣—掌握日系企業文化的入門關鍵


 約20年の日本駐在の中で、日本経済の盛衰と阪神淡路大震災、東日本大震災の2度の震災を実際に目の当たりにし、日本経済の不振を肌で感じた。しかし一方で、被災地で避難民が法やルールを守り落ち着いて冷静に行動する姿を見て、彼らの「日本精神」に感服させられた。2012年末、自民党の安倍晋三氏が首相に再就任し、「アベノミクス」を推進した。日台間については『天下雑誌』第530号(2013/9/4)で「台湾の業者と日本との提携は、…今では台湾あるいは日本で工場を設立したり、連盟を作ったりする方向へ転換しており、今後の日台連携が期待される。」と述べられており、日本企業との活発な交流や日本の企業文化を知ることが必要だと実感している。
 アメリカの学者James C. Abegglenは著書《The Japanese Factory》(1958)の中で、日本社会には「日本的経営」が存在すると指摘し、この経営制度を構成する要素として「年功序列」、「終身雇用」、「企業内労働組合」、「集団主義」を挙げている。この制度は保守的で遅れていると批判されてはいる。ただし、今日の日本企業を見ると、生き残るために経営戦略を変え、ひいては欧米の成果・能力主義および派遣制度を取り入れている。しかし、社会に深く根付いた年功序列制は、そうすぐには変えることができないようである。
 1992年、「関西経済研究センター」がアジアの日系企業に対して調査を行い、台湾、韓国およびシンガポールの日系企業の経営管理は日本のやり方に似ていると指摘した。終身雇用については、日本、台湾、シンガポールでもっとも広く採用されていた。また、 早稲田大学アジア太平洋研究所が2003年および2007年に実施した在台日系企業への調査で、台湾人の経理(部長に相当) 以上の幹部が、日本語能力と忍耐力、チームワーク及び細かさを理解する能力という、日本文化特有の4つの能力を身につけていることが分かった。
 2008年4月、『週刊AERA』が「トヨタの職場革命」を「成果主義なんかいらない」と題して取り上げ、日本の企業を震撼させた。トヨタ自動車は「小集団方式」を復活させたが、これは従来の先輩・後輩関係に基づいたチームとしての力が発揮されることを期待したものである。日本企業は求心力と人間性の価値、およびチーム精神の伝承に重きを置いており、我々にとって学ぶ価値は大いにある。

【公共行政領域】
日期:2018.3.3 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
主講人:林淑馨(國立臺北大學公共政策暨政策學系)
講 題:日本鐵路民營化與組織變革


 1980年代より欧米の福祉国家で深刻な財政危機が起こり、それ以降各国政府は運営コストの削減および経営効率の向上のため、解決の道を模索し続けた。民営化や外部委託、あるいは非営利組織が政府に代わって公共サービスの提供者となる政策まであった。民営化の過程で、事業体質の転換や組織構造の再構成、労働条件の改革、労働環境の変化といったことにも影響があり、民営化後の組織の発展と従業員の福利厚生にも明らかな違いがみられた。よって、公共事業にとって民営化とは、組織の上での重大な変革と言えるであろう。本報告は日本の国鉄を例に、文献分析とケーススタディを通して、組織構造と組織文化、そして管理方法の観点から考察したものであり、民営化と組織変革には実は密接な関係があることが分かった。公共事業を民営化するか否かは、組織の構成員の心理状態と組織への認識と関わりがあり、組織を変革するか否かも、事業の効率と競争力に影響を及ぼすのである。特に、組織変革の中身はさらに直接的に事業の存続に影響する。仮に、公共事業の民営化のみ実施し組織変革を行わなかった場合、事業は組織自体が非合理的な構造であるために自由に動けず、具体的な成果を上げることができない可能性がある。逆に言えば、公共事業の組織変革のみ行い民営化はしなかった場合、事業は法的拘束力によって大規模変革の実現が困難となり、それどころか組織の構成員の「鉄飯碗(公務員や国有企業は安定しているという意の中国語)」という心理状態を変えていくことも難しくなり、改革は失敗に終わってしまうのである。

【國際關係領域】
日期:2018.3.3 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
主講人:蔡明耀(中華民國外交部主任秘書)
講 題:當前東亞情勢與日美同盟


 隣国で歴史的にも深い関係がある日本と台湾の間には、緊密なつながりが存在する。調査によると、日本人と台湾人は互いに親近感を抱いており、旅行先として互いの国が好まれているという。現在の日台関係をより深く理解するには、東アジア情勢と日米同盟の枠組みの中で、両国の交流をさらに検討する必要がある。
 全体的に見ると、東アジアの安全情勢は北朝鮮問題と台湾海峡問題に関わっている。北朝鮮の核開発および大陸間弾道ミサイルの発射実験にともない、日米中韓など各国には強い不安が生じた。北朝鮮は態度を硬化させているが、北朝鮮の主な支援先である中国も北朝鮮が核兵器を有することに否定的であるため、国連の北朝鮮への経済制裁を支持している。戦争は非常に恐ろしいため、絶対的な優勢と勝算のない中では、各々が現状維持を優先する。しばらくの間は戦争が勃発する可能性はないだろう。 
 東アジア地域の政治情勢の面では、主に日韓の対立が不安視されている。新しく大統領に就任した文在寅氏は、日本に対して依然として曖昧な態度を取っているが、北朝鮮の核兵器問題の解決のため、日韓両国は完全なる決裂には至っていない。また、経済の発展は、政治情勢の安定に依存せざるを得ない。今後の東アジア情勢も、引き続き世界中が注目するポイントとなる。
 各国の立場から見ると、いずれの国も自国の利益を最大化させる政策を採ることに力を注いでいる。かつては世界唯一の覇者であった米国は、アフガニスタン・イラク戦争後、経済面でも痛手を負った。テロと平和への脅威に直面し、米国は各地域の同盟国により多くの責任を果たすよう要求した。「タダで乗れる安全な列車などない」ということである。米国は東アジアでもっとも揺るぎない同盟国である日本に法律を改正させることに成功し、自衛隊がこれまでより多くの平和維持活動を行えるようにした。日米両国から東アジア地域で牽制を受け、中国は一帯一路戦略を打ち出し、アジアインフラ投資銀行を設立して主導権を握ろうとした。一方、中国が南シナ海を内海化するのを防ぐため、日米はインド太平洋戦略を掲げ、航行の自由を確保した。日米中を始めとする国々のアジア太平洋地域での競合が、地域の発展に影響を及ぼしているのである。 
 このように、東アジアの情勢は安全、政治、経済面でのいかなる変化も、日台関係に影響を及ぼすのである。台湾は日本との経済協力の実現に尽力し、両国間の人的交流を促進すべきである。国民間の友好感情は、両国の関係にとって最大の保障であることは疑いない。もし台湾が民主的な価値理念を堅く守り、日米等の国々とのつながりを持つことができれば、中国からの圧力や統一の脅威を軽減することができ、さらには自身の安定した繁栄を維持することもできるのである。