講 題:早稲田大学社会科学総合学術院の設立経緯と教育理念
主講人:山田満(早稲田大学社会科学部教授)
1966年に創設された社会科学部は本年で50周年を迎えることになる。早稲田大学全体では比較的新しい学部であるが、半世紀という大きな節目であることは間違い。この間、多くの本学部出身の先輩諸氏が各方面で活躍していることからもわかる。半世紀の重みをいま私をはじめ多くの教員、校友らが噛みしめると同時に、次の半世紀に向けて新たなヴィジョンを抱いているところである。
社会科学部は、1994年に開設した大学院社会科学研究科、2016年設立の先端社会科学研究所ともに社会科学総合学術院を構成し、〈学際化〉、〈臨床化〉、〈国際化〉の三つの理念を掲げてきた。これら三つの理念は、パズルのような複雑化した国内問題や国際問題を理解し、新しい問題解決能力を培うための社会構想力を身に付けるうえでの基本的な概念であると確信している。
〈学際化〉とは、複眼的な視座から問題の本質を読み解くことであり、社会科学部では政治学、法学、経済学、商学などの社会科学の学問分野はもちろん、歴史や文化などの人文科学領域、生命、環境などの自然科学、さらには情報科学などの専門科目が選択できる。これらの専門を広く学ぶことで問題のさまざま側面を理解する能力を磨く。〈学際化〉は社会科学部ならではの魅力となっている。また同様に、〈臨床化〉は当学部設立以来、社会との接点を有する学生が多く在籍していた夜間部の歴史があり、アドバンテージの高い分野である。それぞれの研究分野に基づき現場に出ていくことで、在籍中に問題の本質を現場から理解することが期待できる。最後に、英語プログラムの開設、留学生の受け入れ、さらには留学への推進等により積極的に〈国際化〉が進んでいる。