国際シンポジウム「黄檗宗と十七世紀の東アジア交流」
国際シンポジウム「黄檗宗と十七世紀の東アジア交流」 活動花絮
日期:2015.10.02 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
     

            





国際シンポジウム「黄檗宗と十七世紀の東アジア交流」
日期:2015.10.02 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
国際シンポジウム「黄檗宗と十七世紀の東アジア交流」
【摘  要】

 日本の黄檗文化およびその思想体系の新たな研究視点を深化させ、東アジアの文化交流に関わる研究の多様な対話を促進するため、国際学術シンポジウム「黄檗宗と十七世紀の東アジア交流」を開催した。開会に当たり、台湾大学文学院院長の挨拶及び清華大学の楊儒賓教授の基調講演が行われた。徐興慶教授が新書『天閒老人獨立性易全集』出版の意義を語った。その後(一)十七世紀黃檗文化傳播及人物、思想交流;(二) 唐通寺、長崎奉行の関連研究;(三) 黃檗宗と関わりのある書法、繪畫、雕刻、芸術などの中日文化交流;(四)獨立性易、東皐心越禅師の関連研究;(五)十七世紀前後東アジア思想の関連研究など、五つのテーマに沿って論文発表が行われた。


徐興慶編著『天閒老人 獨立性易全集』の內容及びその意義

 目下、日本、中国、台湾の獨立性易に関する研究は極めて少ない。本全集は日本各地に散在する独立の史料を発掘し、体系的な整理と解読によって、日中文化交流史研究の脈絡体系から独立の人物像とその歴史的位置付けを考察した。この全集の出版によって、日中文化交流研究を様々な方面から深めていければと考えている。

【專題演講】

講演者1:野口善敬(花園大学文学部仏教学科教授、国際禅学研究所所長)
演題:禅門の法式における黄檗禅の影響

講演者2:錦織亮介(日本福岡市美術館館長)
演題:黃檗宗の肖像画と中国民間肖像画

講演者:德川眞木(日本德川博物館館長)
演題:德川博物館所蔵の朱舜水、獨立禅師、心越禅師の未刊史料について

発表者1:呉疆(アメリカアリゾナ大学准教授)
演題:黄檗僧侶渡来断絶に関する考察:十八世紀江戸幕府の唐僧招聘

発表者2:若木太一(長崎大学名誉教授)
演題:隠元禅師と日中雅交ー幻寄山房の人々ー

発表者3:木津祐子(京都大学大学院文学研究科教授)
演題:クレオール文学の担い手としての唐通事(1)——長崎諸寺をどう語るか—

発表者4:奧村佳代子(関西大学外国語学科教授)
演題:唐通事の白話文ー日本語作品の翻訳を中心にー

発表者5:計文淵(餘姚書畫院副院長)
演題:黄檗独立の筆跡考論

発表者6:廖肇亨(中央研究院中国文哲研究所研究員)
演題:西湖から富士山へ:独立性易の風景描写が包括する文化の分析

発表者7:田渕義樹(日本福岡柳川古文書館学芸員、副館長)
演題:独立─安東省菴と朱舜水をつないだ黄檗僧

発表者8:松岡智訓(日本山口岩国徴古館学芸員)
演題:岩国と独立

発表者9:錢明(中國浙江國際陽明學研究中心研究員、主任)
演題:浙江省における杭州の戴笠の足跡を考える

発表者10:李美燕(屏東大学中文系教授)
演題:渡来禅僧東皐心越、禅・芸双修の芸術精神

発表者11:韓東育(東北師範大学教授、副校長)
演題:明清革命の東アジア 華夷観の変化
【總  結】

 独立性易が明の遺民として、また越境の文化伝播者として、日本に遺した史料は想像より多い。その著作を網羅した全集は未だに日本や中国、台湾で出版されていない。今回のシンポジウムには二つの大きな意義がある。(一)『天閒老人 獨立性易全集』の出版により、独立性易について東アジアの学界の研究を促進し、日中文化交流に新たな史例を提供する。(二)国内外の研究経験と成果を分かち合うことによって、黄檗宗と東アジア文化交流の創成的研究を触発する。