2022年11月25日午後、由緒ある台湾大学校史館に、ピアノの音が響き渡った。台日文教講堂(3)で行われた合唱イベントは、Tapei Male Choir(拉縴人男声合唱団)の団員たちが舞台に上がり、『ふるさと』という曲を歌って幕を上げた。
Tapei Male Choirはアジアで有名な男声合唱団である。発足以降、国内外の合唱コンクールで数々の賞を受賞した。また、常に斬新なコンサートプロデュースを演出し続け、好評を博している。日台交流を促進するため、財団法人拉縴人文化芸術基金会は台湾の学校の卒業式で馴染 みのある卒業曲『今年夏天』を日本語バージョンに改編し、日台共同で発売した。歌詞の翻訳に際しては、日本と台湾の卒業シーズンが異なることに配慮し、一部の歌詞を変更し、歌のイメージがよりいっそう伝わるように工夫をした。基金会CEO林俊龍氏はそう語った。会場にいる参加者た ちは、Tapei Male Choirが歌う『さよなら友よ』(今年夏天)がもたらす感動をかみしめていた。
Tapei Male Choirは2003年以降日本へ赴き、合唱コンクールに参加している。また日本の合唱団も台湾へ迎えて公演してもらい、日本の合唱仲間と深い絆を築き上げた。互いに励まし支えあい、「音楽は国境を越える」という言葉を肌で感じたという。
最後に、本センター主任林立萍教授が参加者と共に『群青』という曲を読み上げた。これは、東日本大震災によって日本各地に散り散りになった生徒たちが、遠くにいる友達を恋しく思う気持ちが描かれた歌である。次いでTapei Male Choirが参加者と一緒に『群青』を歌いあげた。台日文教講堂(3)のイベントは、その美しく温かい歌声で幕を閉じた。
音楽の力はどこまでも届く。たとえ生まれ育った環境や習慣・文化が異なっても、音楽は互いを信頼させ、人々の心を繫いでくれるのである。