台隆グループ黃教漳董事長の多大なご尽力により、このたび本センターは新たなシリーズ講座として台湾大学崇徳留学講座「なぜ日本を選んだのか』を設立する運びとなった。この講座は、日本留学経験をもつ各界の方々を講師として招き、留学先に日本を選んだ理由を経験者ならではの視点で語ってもらうことで、学生に日本留学を奨励し、台湾における日本研究をいっそう発展させることが目的である。
第一回目の講座は、2021年4月30日(金)に台湾大学校史館の中央ホールで開催された。講師の徐重仁氏(筑誠創研董事長兼重仁塾塾長)が日本への留学と台湾での就業で得た経験を参加した学生に伝え、留学することの意味を示した。
開会式では、本学の周家蓓副学長が挨拶し、本学の代表として黃教漳董事長に瑠璃の記念メダルを贈呈した。黃董事長は自身が日本に留学した理由と留学中に得た貴重な経験を語り、自分と同じように日本留学を希望する若い学生に機会を提供し、その経験を社会に還元すべきであると述べた。次いで、本センター林立萍主任がセンターの代表として感謝状を進呈した。最後に村嶋郁代広報文化部長が日本台湾交流協会の代表として祝福と激励の言葉を送り、日本研究センターの支援と日本研究の促進に前向きな姿勢を示す黃教漳董事長に感謝の意を述べた。こうしてなごやかで温かい雰囲気の中、講座の幕が開けた。
講演中、徐重仁氏は自分の生涯に顧みて、留学時代に「利他の精神」が芽生えたと言った。当時日本は経済が著しく成長し、コンビニの普及にも力を入れていた。この光景を目にしたことは、コンビニ文化を台湾に導入し、台湾人により便利な生活をもたらす契機となった。また、帰国して台湾企業に就職してからも様々な経験を積んだ。留学中に得た体験を身につけることで、徐氏は、自分自身のみならず、社会にもプラスになる重要さを力説した。
企業の経験以外に、徐氏は美化協会に加入した経緯についても言及した。同氏は清掃活動に参加して街をきれいにしながら、台日の交流も深めた。この経験を紹介することで、彼は学生に他人が避けたがることを厭わずやる大切さを示唆した。退任後は、重仁塾を立ち上げ、台湾の新世代に人生の知恵と姿勢、そして仕事の体験と経験を伝えている。
講演の最後に、徐氏は進学・就業・人生において貫いてきた自分の理念を語り、世界を羽ばたくためには言語力・情報力・思考力・美意識などの素養を備えるべきだと、若い学生にアドバイスを送った。
閉会式では、林立萍主任が本センターの代表として、徐重仁先生にプレゼントと花束を贈呈し、感謝の意を表すとともに、ご来場の方々にも謝意を示した。「本センターはこの講演を通して、台湾的な文脈から日本研究の発展、国際日本学の構築に向けて、大きな一歩を踏み出しました。これからも社会に恩返しする気持ちで、あらゆる支援を通じて研究に精進し、社会に貢献していきます」と締め括った。