米国経営学者ジェイムズ・アベグレンは1950年ごろ、終身雇用・年功序列・企業内労働組合を日本型経営の三種の神器として定義づけした。しかしそれには一つ重要な項目が抜けている。それは、福祉である。企業の拡大により労働者の奪い合いが起き、労働者の確保が難しくなった。企業は従業員を引き留めるために、三種の神器以外にも、社宅・レクリエーション保養施設・宿泊施設等を作り、福祉を充実させた。
松下幸之助氏をはじめ、多くの労働者はジョブホッピングが普通に行われていた。軍部は国民管理ができないことから、1938年に労働者移動禁止令を発布したが、それでも軍部の目を盗んで労働者の転職が多発していた。そのため、企業側は終身雇用と年功序列を制度化し始めた。1945年に日本が敗戦し、制度が一度崩れたが、企業が必死に労働者を引き留めるために企業内労働組合と福祉を付け加え、そこで4つの項目が出来上がった。
日本は縄文時代に氷河期を経て日本の国土が形成され、弥生時代には稲作により土地をめぐる戦争が発生した。また古墳時代を経てから今日まで約2600年、日本的な「和」の精神が形成された。日本人は本来、本質的に争いごとや戦争を好まない民族である。その精神は今日の日本人の根底の精神にも流れ続けており、対立するより共存共栄・自主自立することが好まれている。
松下幸之助氏は「業即修行」、仕事は金儲けの手段ではなく、自己成長のための手段であると唱えた。日本型経営の本質は役割・成長・誠実の3つから成り立っている。また、日本語の「商売」は「正売」「誠売」と言い換えることができる。他人から信用されることで人生、経営、商売でも成功することができる。それは「誠実という種によって信用という花が咲く」と言う。今後台湾と日本が相互に力を合わせ強力な関係を作ることで、東アジアの発展につなげていくことができる。