東日本大震災のあと、台湾は被災地に200億円を超える義援金を送りました。このうち政府によるものは一割ちょっと。言い換えれば、ほとんどは国民が給料やお小遣いの中から自分の意志で出したものです。この数字は単純に計算してひとり当たり約800円。義援金が集まっていく様はまさに想像を遥かに絶する国を挙げての特別なイベントのようでした。
この過程を現地視点で描いた小説「アリガト謝謝」。今回の公演では作者の木下諄一が執筆に当たっての取材や30年にわたる在台経験を通して感じたことをもとに、「どうしてこんなに多くのお金が集まったのか」についてお話します。このほかにも作品の中に書いていないことも紹介する予定です。
そしてもうひとつ、そこからさらに一歩踏み込んで、「台湾人と日本人の距離」というテーマで戒厳令時代から今日に至るまでの台湾人と日本人の関係についても取り上げます。
普段あまり考えることのない双方の距離という問題について、もう一度現状を見つめ直し、そこから今後の日台関係をどのように発展させていくべきかをお話します。