今回の講座では、日本の外交政策論争の角度から、日米中三ヵ国の関わりと発展について分析したい。
日本の外交方針については、冷戦後、10数年にわたる政策論争の結果、「傾向性を帯びた中間路線」の合意に達した。これは日本では近代以降、3回目の外交政策論争であった。日本の政策論争は毎回、外交方針の根本的な転換をもたらし、あわせて日本の対中政策に大きな影響を与えた。
日米中三ヵ国の関係を、アジア太平洋地域における大国の大きな枠組みの中でゲーム論的に考えると、「国際関係では永遠の友達も敵もない」という鉄則があてはまる。20世紀、90年代初頭より日本の外交政策は第三次大論争が始まったが、表面上は前の2回ほど劇的なものではなく、非常に控えめなものだった。しかし、21世紀の初めに合意した「中間路線」の中では、この大論争にも深い意味がある。予見できる未来、とりわけ安倍晋三首相の在任期間において、日本の外交は両面的な傾向がある。一つは、日米同盟の強化を続け「積極的平和主義」のもとでアメリカ政府が推進する「アジア太平洋地域のリバランス」戦略にも協力し、これにより日本の戦略的転換を進めることである。「常任理事国入り」を積極的に目指し、日本海や南シナ海の問題にも介入を続けている。もう一つは、対中・対韓関係を改善し、東アジア共同体の構築を強めることである。文化面では若者の交流を強調し、日本の価値観と文化を輸出することで、「ソフトパワー」外交を強化した。日本はこれまでの長きにわたる政策論争で達した合意に従い、対外関係の上で一定のバランスを求めていくことになる。それは、中間路線の方向をとることを意味する。その方向は時期や国内外の環境の違い、特に理念の異なる指導者によって生じる変化に合わせて、「中間路線」からいくらか逸れていくことになるだろう。しかし総じて言えば、その外交政策の主な方向性は、結局は日本の国家利益にとって最も有利な「中間路線」になる。