戦前の台湾で九份を中心とした一帯で金鉱や炭鉱を経営し、「5大家族」の一つに数えられた基隆顔家の長男だった父・顔恵民。 日本人としての教育を受け、戦後まもない台湾に戻ったが、数年とたたず、日本へ密航で逃げ出した。当時は2.28事件直後という時期。父は何を目撃し 、どんな行動を取ったのか。アイデンティティに悩み、多くを語らずに早逝した父の足跡をたどり、当時の資料や台湾大学地質学部の同級生たちの証言も集めながら、祖父が指名手配を受け、父も友人が次々と当局に連行されるなど、顔家一族が直面した時代 の変化と悲劇の真相に迫る。