戦後70年間を振り返ってみれば、日本は、まさに社会変動の最中にあった。第2次世界大戦、戦後の経済成長、都市化、核家族化、あるいは近年の私人化、個人化といった急速な社会変動を日本は経験してきた。さらに近代学校教育の普及は、家庭教育に直接・間接に大きな影響を与えてきた。
本報告においては、近年の少子化、私人化に伴って日本の家族はどのように変容をとげ、家庭教育に関わる問題が生じているのか、家庭教育の危機と言われる状況とはいかなるものかをまず明らかにしていく。その上で、家庭教育の諸課題に対して学校や地域社会がどのように克服しようとしているのか、家庭教育支援を行っているのか、具体的な事例を踏まえて紹介していきたい。
報告者は中国教育研究者であるため、中国との比較の視点を盛り込みつつ、論じていく。
1. 自己紹介(近年の研究を含む)
2. 変動の中の日本の家族
3. 家庭教育の諸相
4. 家庭教育支援―学校教育及び地域教育をめぐって