求められる人材像と人材育成
住友商事が求める人材像に、「魅力ある人。自分で考え、行動できる人。」の2つがある。ビジネスは人と人との信頼関係を基本とするため、人から「魅力があるな」「この人と仕事をしたいな」と思われる人が企業に求められる人材だという。また「人材こそ住友商事の資産」という考えのもと、人材育成に力を入れており、採用・新人教育・社内外及び国内外での研修等、さまざまな制度がある。
次に、みずほフィナンシャルグループの竹内功社長が「みずほフィナンシャルグループの求める人材像」というテーマでお話された。その中で、みずほ銀行の紹介と、求める人材について話された。
みずほ銀行は台北・台中・高雄の三店舗をかまえる。海外を拠点としている店舗の半数以上が、中国と台湾が占めている。台湾で取引している企業は、台湾企業が90%、日本企業は10%となっている。
台湾みずほ銀行は、日本統治時代の旧日本勧業銀行からその歴史が始まる。戦後の1946年に一度撤退したが、前身の日本勧業銀行が1959年に台北支店を設立した。それが台湾における初の外銀参入である。以前は、製造業で台湾に投資する企業が多かったが、最近では飲食店などといった投資が増えつつあり、また台湾でも円決済銀行として受託され、時代と共に変化しつつある。
みずほフィナンシャルグループの求める人材としては、一般的な日本企業が求める人材と大差ない。グループ内では社内教育がしっかりしており、長いスパンで働くことが求められている。また、ジョブ候補つまり社員が多様な挑戦を推奨する制度があり、キャリア開拓を積極的に促進している。さらに、チームワークを重視し、プロジェクトを行う際に社員全員で協力して行うことが重要視されている。
最後に、竹内氏は三つの概念を挙げた。「運・縁・感」を掲げ、「運」はいい機会を上司から与えられて、人のご「縁」があり、今の自分があると「感じる」ということである。日本の企業はこれからも三つの概念と欧米企業のような自分でやりたい企画が一緒に組み合わさって成り立っていくのであろうと語り、台湾の学生も日本企業の未来について展望するように求めた。
以上のご講演の後行った最後の総合討論では、多くの質問が寄せられた。特に学生からの、「学生のうちに何をするべきか」「日本語能力の程度は採用にどのくらい影響するのか」といった就職活動に関するものが多かった。これについて石塚社長は「学生のうちは勉強するとか、色んな人と会うとか、色んな場所に行くとか、学生時代にしかできないことを」「日本とだけビジネスをしているわけではないので、日本語能力や日本についての知識だけを重視して採用する訳ではない。発想力や人間性等、総合的に判断する」と答えられた。日系企業=日本語能力と考えてしまいがちな学生には、企業の本音を知ることができた。また、「台湾の大学生にもとめるものは何か?」という質問に対して、竹内氏は、「銀行と取引する会社は専門が様々であるから、許容力、企業に対して、どんなことに対しても興味を持ち続けることが大事である。」一方で「フィンテックというビッグデータを元に、それを解析し顧客のニーズに応えるための専門的な知識を身につけることも大切だ。」と答えた。何事にも興味を持ち続けるのと同時に、専門的な知識や技術を身につけるということが重要であると強調した。社長のお二人はどの質問にも丁寧に、そして具体例等を交えながらわかりやすく答え、50分という総合討論の時間は瞬く間に過ぎた。また講演会終了後には記念撮影にも気さくに応じ、参加者と親しく交流する場面も見られた。