宋教授は中国における日本研究を、近代、現代、未来の3つにかけて説明した。
近代中国の日本研究は、侵華戦争と密接な関わりを持つ。日清戦争の後、中国は国内の改革を進めるべく、明治維新関連の研究を始めた。戦争中に発行された雑誌や刊行物、研究著作は、日本の政治、経済、軍事研究が主だった。近代を代表する研究として、黃遵憲『日本國志』(1887)、康有為『日本變政考』(1898)、戴季陶『日本論』(1928)、蔣百里『日本人』(1937)等がある。
宋教授は4つの観点から現代の中国における日本研究について紹介した。
1つ目は研究機関。1964年、日中関係修復および国交樹立に向けて日本研究の機構を設立し、政治経済面での日本研究をはじめた。しかし、1970年代末に鄧小平が改革開放を主導するようになるまで系統的な日本研究はなかった。
2つ目は、研究者。中国の日本研究者は控えめに見積もっても約1500人いる。そのうち、日本研究を専門とする者もいるが、大学の各学部で日本と関連のある研究を行う研究者が大部分を占めている。2000年以降、改革開放期に日本に留学した多くの学者が帰国し、日本研究の質を大幅に上げた。
3つ目は研究刊行物。政治的な理由で日本研究の刊行物は多くない。中でも最も学術的な権威を持つのは、主に現代日本の政治、経済、外交の研究を掲載する『日本学刊』である。
最後は、研究の人気分野について。早期は経済が人気だったが、ここ10年、日中間での政治的摩擦が多くあったため、現在は中日関係に関する研究が盛んになっている。今年(2015年)は日清戦争70週年の節目であるため、日本侵華史の研究にも重点が置かれている。
宋教授はこれからの展望について、近年の日中両国は関係改善に努力していることから、日中の共同研究が今後重要となってくると述べた。共同研究の目的は双方の共通点を見出すことであり、これは双方の歴史認識にとっても有意義である。今年は日本侵華史研究に非常に豊富な資料・史料が提供されたが、これも今後の研究のポイントとなってくるだろう。また日本の思想文化に関する研究では、新たな発見や共通認識を究明し続けている。
講演の最後に、教授は南開大学日本研究院について簡単に紹介した。1964年に成立した「日本史研究室」は現在、総合的な日本研究を行う日本研究院となり、日本との学術交流も非常に盛んである。今後は台大日本研究センターとも、さらに学術交流を進めていきたいと述べた。