講 題:中国から移入された漢字は日本の文化の中にどのように溶け込んでいるのかー和語・漢語・外来語との関係から
主講人:佐佐木瑞枝(武藏野大學言語文化研究科名譽教授)
主持人:曹景惠(臺灣大學日文系副教授/日本研究中心特約研究員)
日本語はその来源から、日本独自の和語、中国から伝わった漢語、開国後西洋から伝わった外来語、の3つに分類することができる。佐々木教授は会場の学生をグループ分けし、ある童詩に出てくる和語、漢語、外来語の区別について討論させ、ホワイトボードに書かせた。学生は外来語については正確な区別ができたが、漢語と和語は必ずしも簡単ではなかったようだ。教授は、この2つの違いは漢字の有無では判断できず、ポイントは発音が中国語に近いかどうかであると解説した。
次に教授は学生に政治ニュースを見せ、先の童詩と比較させた。和語中心の童詩と比べてニュースでは漢語が多く、このような用法の違いは、同じ意図を表すとしても、日本人の和語、漢語、外来語の使用には、微妙な語感の差が生まれる。例えば日本人にとって「旅館」は、「宿屋(やどや)」や「ホテル」よりより現代的で清潔で、明るい印象を与える。この日本人の和語・漢字使用の差異を明らかにすべく、教授はまた別の文章を用いて学生に考えさせ、この2者間に「漢語は書き言葉に多い」という違いがあることに気づかせた。これは日本語の漢語には同音異義の文字が多く、話し言葉として用いるのに適さないからだという。
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