坂東弘美&中澤ミサヨ對談
坂東弘美&中澤ミサヨ對談 活動花絮
日期:2016.6.2 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
        

     

  

講 題:原爆と戦争の災禍をいかに伝えるか:「はだしのゲン」からのメッセージ

主講人:坂東弘美(『はだしのゲン』中国語版翻訳監修者)
    中澤ミサヨ(『はだしのゲン』作者中沢啓治氏夫人)

坂東弘美&中澤ミサヨ對談
日期:2016.6.2 | 單位:臺灣大學文學院日本研究中心
原爆と戦争の災禍をいかに伝えるか:「はだしのゲン」からのメッセージ
概 要

 今年、日本のマンガ家中沢啓二氏の作品『はだしのゲン』の中国語繁体字版が、ついに台湾で出版される。本センターではこの日、中国語版翻訳監修者である坂東弘美氏と作者のミサヨ夫人をお招きし、『はだしのゲン』という作品についてお話いただいた。

 『はだしのゲン』は、作者中沢啓二氏の半自伝的作品である。広島県で生まれた中沢氏は広島で被爆し、命辛々難を逃れたが、母親以外の家族を原爆で亡くし、母親も放射線の影響でガンを患った。彼の作品は主人公のゲンの視点から、戦争の残酷さや原爆がもたらした被害や苦しみをリアルに描き、またゲンや他の登場人物のせりふを通して軍国主義を批判している。作品は発表から40年を過ぎた。これまで23の言語に翻訳され、多くの国々で出版されており、世界中の読者に戦争と核兵器への反省を促している。

 坂東氏は以前テレビ局のアナウンサーだったが、チェルノブイリ原発事故の影響を受けて1990年より反核の市民運動に参加し始め、「プロジェクト・ゲン」にも加わった。「プロジェクト・ゲン」の主な活動は、『はだしのゲン』の諸言語への翻訳と普及であり、作品を通じて世界中の人々に戦争の残酷さや核兵器のもたらす被害や苦しみを伝えることを目的としている。坂東氏はその活動の中で、これまでアメリカやタイ、ロシア等に赴き反核と反武力を訴える活動を行っており、その写真や動画を紹介した。また、中沢啓二氏の創作活動を支えたミサヨ夫人は、中沢氏の創作意図や創作者としての作品へのこだわりや熱い思いについて語った。

 坂東氏は、「広島愛の川」プロジェクトの映像と、アニメ版『はだしのゲン』の映像を流した。「広島愛の川」は中沢啓二氏作詞の歌であり、歌詞は戦争が人々にのこした傷跡の中で、怒りと悲しみを乗り越え、あたたかい心で世界を包み込むという内容である。広島市を流れる太田川は原爆が投下された後、一度は「地獄の川」となった。しかし、その川辺で大人も子供も一緒になって歌う姿からは、太田川はすでに怒りと悲しみを乗り越え、人々の愛と平和への期待にあふれていることがうかがえた。

 『はだしのゲン』のアニメでは戦争の人間生活への影響が描かれており、食料が配給制になったほか、空襲の脅威とも常に隣り合わせだった。原爆投下後、街は一瞬にして地上の煉獄と化したが、作品でもこの爆発の熱風を受けた人間の様子がリアルに描かれており、大きな衝撃を与えた。

 質疑応答の際、日本からの交換留学生が、「プロジェクト・ゲン」は原発事故関連の活動にも携わっているのかと尋ねた。これに対し坂東氏は、「プロジェクト・ゲン」は『はだしのゲン』の翻訳と普及が主な活動であり、反原発の運動に直接には関わっていない。ただ、個人的には反核運動に参加していると答えた。

 講演の最後、本センター執行委員である辻本雅史教授が、「私は戦後の生まれで戦争に関する記憶はないが、戦争の記憶を次の世代に伝える上に、その作品の果たす役割は重要」と述べ、坂東氏とミサヨ夫人の活動の重要性を述べた。