講 題:日本人と日記―その文化と文学への影響
主講人:松薗 斉(愛知學院大學文學部教授)
主持人:辻本雅史(台灣大學日文系教授兼日本研究中心執行委員)
日本の文学作品のジャンルとして、「日記」を題材にしたものが10世紀の『土佐日記』や『蜻蛉日記』以来、近・現代に至るまで数多く作られ、読まれてきた。その歴史的背景には、各時代にごとに、その社会と結びついてきた、日本人の日記(日常の日記や旅の日記)を記す行為とそれをめぐる一つの文化ともいうべきものが存在する。ここでは、古代から中世まで、つまり10世紀から16世紀頃までに焦点を当て、日本における「日記」文化についての考えてみたい。